カニ缶の身はなぜ紙でくるんであるのか?

カニやエビは、ほかの缶語類と違って、必ず、中の身が半透明な自い紙でくるまれています。

 

それは、力二缶が高価なものだから、ほかの缶詰よりもていねいに扱ったためではもちろんなく、また、身がくずれやすいので、それを防ぐためにというわけでもありません。

 

もちろん腐るのを防ぐためでもありません。缶詰は、もともと腐らないために工夫されたものです。わざわざ紙を入れる必要はありません。

 

あの紙、実は「酸性パーチ」と呼ばれるもので、力二の中からガラスが発生するのを防いでいるのです。

ガラスといったので驚かれたかもしれません。ガラス状のもの、といい直すべきでしょう。

 

カニやエビを缶の中に長く入れておくと”ストラバイト現象”というものが起こります。

これは、力二やエビに含まれている成分と、缶の鉄や錫とが化学変化を起こして、ガラス片のようなものをつくり出すものです。

 

また、これによって変色をきたしたり、味を悪くしたりすることもあります。

 

そういった化学変化を防ぐのが、酸性パーチなのです。

 

ところで、この酸性パーチを入れると、なぜ化学変化を防げるのかということについては、はっきりと解明されているわけではありません。それに、この紙を入れたからといって、完全にガラス状のものが発生するのを防げるわけではありません。

 

現在でも、カニ缶に対する苦情の多くが、「ガラスが入っていた」というものだそうです。

もちろん、この物質、毒性のものではないので、たとえ入っていても心配することはありません。